脊髄再生医療について

はじめに

脊髄損傷は広範な知覚・運動・自律神経系のダメージをもたらし、医学が目覚ましい進歩を遂げた現在でも、有効な治療方法は確立されていません。

当科ではこれまで生理学教室と協力し、脊髄損傷に対する再生医療の戦略として神経前駆細胞や肝細胞増殖因子(HGF)などを用いてその有効性を報告して参りました。さらに、詳細な画像診断ツールの開発やリハビリテーションとの併用など、脊髄再生を目指して様々な面から包括的な研究を試みています。研究室についての詳細はこちらをご覧ください。

研究室HP

iPS細胞由来神経前駆細胞移植について

これまで、iPS細胞から神経前駆細胞を樹立し、適切なタイミングで損傷後の脊髄に移植することにより、運動機能の回復が得られることを報告して参りました。

すでに動物実験における有効性と安全性が確認されたため、今後は臨床研究によりヒトでの安全性と有効性を確認していく計画です。

臨床研究の概要および進捗

「亜急性期脊髄損傷に対する iPS 細胞由来神経前駆細胞を用いた再生医療」の臨床研究実施計画について、2019年2月18日の厚生労働省厚生科学審議会再生医療等評価部会で承認され、2019年3月13日に厚生労働大臣に正式に許可されました。(詳細はプレスリリースをご覧ください)

受傷後およそ3週間以内の頸/胸髄完全損傷の方、計4名への移植を目標とし、現在も臨床研究を継続しております。

その他の臨床研究について

頸髄完全損傷 受傷後60時間以内の方を対象に、HGFを用いた臨床試験(治験 [第三相試験])を、総合せき損センター(福岡)、村山医療センター(東京)、北海道せき損センター(北海道)にて実施しています。

詳細はこちらのWebサイトをご覧ください。

♦ https://www.kringle-pharma.com/sci3chiken/